ネットワーク障害の初期調査では、show interfacesコマンドによるエラーカウンタ確認が最初の一手として非常に有効です。特にCRCエラーやinput errorsの増加は、物理層やリンク設定の不一致といったトラブルの兆候です。
本記事では、実際の出力例を使いながら各カウンタの意味・原因・対処法・確認の手順まで、現場目線で体系的に解説します。
あるスイッチポートで「通信が不安定で時々切れる」という問い合わせがありました。pingを打っても断続的にロスが出る程度で、原因がつかめない状態でした。
show interfacesでエラーカウンタを確認すると、CRCが数分で数百件増加していました。ケーブルを交換した瞬間にCRCエラーがピタリと止まり、通信が安定しました。原因は経路途中でケーブルが強く折り曲げられて内部断線に近い状態になっていたことでした。見た目は正常なケーブルでも内部で問題が起きている場合があります。エラーカウンタを見れば物理問題かどうかが一目でわかります。
エラーカウンタの確認コマンド
! 特定ポートのカウンタ確認
Switch# show interfaces GigabitEthernet0/1
! 全ポートを一括確認(ポート数が多い環境で有効)
Switch# show interfaces
! エラー項目だけを絞り込む
Switch# show interfaces GigabitEthernet0/1 | include error|CRC|collision|reset
! カウンタをクリアして再測定(単位時間でのエラー発生頻度を確認)
Switch# clear counters GigabitEthernet0/1出力例と各フィールドの意味
GigabitEthernet0/1 is up, line protocol is up
Hardware is Gigabit Ethernet, address is 0011.2233.4455
MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit/sec, DLY 10 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Full Duplex, 1000Mbps, media type is RJ45
Last clearing of "show interface" counters 00:12:35 ← カウンタを最後にクリアした時刻
345 input errors, 120 CRC, 80 frame, 0 overrun, 0 ignored
↑input errorsはCRC・frame・overrun・ignoredの合計値
234 output errors, 0 collisions, 5 interface resets
0 late collision, 0 deferredinput errorsはCRC + frame + overrun + ignored + その他エラーの合計値です。たとえばCRC=0でもoverrunやignored、またはその他のエラーが増えているとinput errorsが増加します。input errorsが増えたらサブカウンタ(CRC・frame・overrun・ignored)をそれぞれ確認して原因を特定してください。各エラーカウンタの意味と原因・対処法
受信したフレームのCRC(巡回冗長検査)値が一致しないエラーです。CRCエラーが増加している場合は物理層の問題を最優先で疑います。
| 原因 | 対処 |
|---|---|
| ケーブルの折れ・断線・劣化 | 規格準拠品に交換。配線経路も確認 |
| 速度/デュプレックスの不一致 | 両端をautoまたは同一値(full/1000)に統一 |
| 光ファイバのコネクタ汚れ・曲げ | コネクタを清掃し最小曲げ半径以上で配線 |
| ノイズ干渉(電源ケーブルとの近接など) | ケーブル経路見直し、シールドケーブル使用 |
フレーム境界がずれたり、サイズが不正な場合に発生します。CRCと同時に増加することが多く、デュプレックス不一致が最も多い原因です。
| カウンタ名 | 意味 | 主な原因 | 正常値 |
|---|---|---|---|
| input errors | 受信エラーの合計(CRC・frame・overrun・ignored等の合算) | 物理層不良・設定不一致 | 0 |
| CRC | フレームCRC値の不一致 | ケーブル不良・デュプレックス不一致・ノイズ | 0 |
| frame | フレームアライメントエラー | デュプレックス不一致 | 0 |
| overrun | 受信バッファがあふれてフレームを破棄 | トラフィック過多・CPU過負荷 | 0 |
| ignored | バッファ不足で受信フレームを無視 | 受信バッファ枯渇・トラフィック過多 | 0 |
| output errors | 送信エラーの合計 | バッファ不足・リンク障害・ポート不良 | 0 |
| collisions | 送信中の衝突(半二重通信時に正常発生) | 全二重設定で増えている場合はデュプレックス不一致 | 全二重では0 |
| late collision | スロットタイム後に発生する衝突 | デュプレックス不一致の典型的なサイン | 0 |
| interface resets | インターフェースリセット回数 | リンク断・ポート障害・設定変更 | 頻繁な増加はNG |
late collisionについて(デュプレックス不一致の典型サイン)
通常のcollisionは半二重通信での正常な衝突ですが、late collisionはスロットタイム(512ビット時間)を超えた後に発生する衝突で、正常な通信では発生しません。full-duplex環境でlate collisionが増えている場合は、両端のデュプレックス設定が不一致(一方がfull-duplex、もう一方がhalf-duplex)の典型的なサインです。
! デュプレックス・速度の確認
Switch# show interfaces GigabitEthernet0/1 | include Duplex|Speed|duplex|speed
! 設定を変更する場合(両端で統一すること)
Switch(config)# interface GigabitEthernet0/1
Switch(config-if)# duplex full
Switch(config-if)# speed 1000
! または両端autoネゴシエーションに戻す(推奨)
Switch(config-if)# duplex auto
Switch(config-if)# speed autoduplex fullに固定し、対向がautoのままだと不一致になります。両端同時にautoに設定するか、両端を同一の固定値に統一してください。Gigabit Ethernetでは基本的にautoを推奨します。実務での確認ステップ
どちらかが増えていれば次のステップへ。ゼロなら物理層の問題ではない可能性が高い。
CRCが増えていれば物理層(ケーブル・ポート・ノイズ)。frameが増えていればデュプレックス不一致。overrunやignoredが増えていればトラフィック過多またはCPU過負荷。
Switch# show interfaces Gi0/1 | include Duplex|lateエラーが「過去の累積」なのか「今もリアルタイムに発生中」なのかを判断するために必須です。
Switch# clear counters GigabitEthernet0/1
! 5〜10分後に再確認して短時間で増加していれば現在も発生中CRCが再び増えるようであれば別のポートに差し替えてポート故障かケーブル故障かを切り分ける。
エラー発生時の主な原因と対策
| 原因 | 発生するエラー | 対策 |
|---|---|---|
| ケーブル断線・劣化・折れ | CRC↑ input errors↑ | 規格準拠品(Cat6以上)に交換。配線経路も確認 |
| 速度/デュプレックス不一致 | CRC↑ frame↑ late collision↑ | 両端をautoまたは同一固定値(full/1000)に統一 |
| 光ファイバのコネクタ汚れ・曲げ | CRC↑ input errors↑ | コネクタを清掃し最小曲げ半径以上で配線 |
| ノイズ干渉(電源ケーブル近接) | CRC↑ | ケーブル経路見直し、シールドケーブル使用 |
| ポート故障 | CRC↑ resets↑ | 別ポートに差し替えて切り分け。改善すればポート故障 |
| トラフィック過多・CPU過負荷 | overrun↑ ignored↑ output errors↑ | QoSやポリシー適用、機器のスペック見直し |
運用時のチェックポイント
まとめ
インターフェースエラーカウンタは、ネットワーク障害を早期に発見・切り分けするための重要な診断情報です。
- input errorsはCRC・frame・overrun・ignoredの合計値。サブカウンタを確認して原因を特定する
- CRC増加→ 物理層(ケーブル・ポート・ノイズ)を疑う
- late collision増加→ デュプレックス不一致の典型サイン。両端のduplex設定を確認
clear countersでカウンタをクリアして短時間での再発を確認する- ケーブル交換・ポート変更で改善するかを切り分ける
- 定期的なエラー確認で障害の予兆を早期検知する
特にCRCやlate collisionの増加は見逃さず、物理層・設定の切り分けを迅速に行うことで安定したネットワーク運用を維持できます。
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