「ExPingが動かない」「Windows 11で使えなくなった」——こんな声、最近やたら増えた気がする。自分も現場でExPingを10年近く使ってきたけど、正直なところ、最近は他のツールと併用する場面のほうが多い。
ExPingは素晴らしいツールだ。でも開発が止まっていて、64bit環境での不安定さや、SNMP・HTTP監視には非対応という限界がある。この記事では、ExPingの代わりになるネットワーク監視ツールを5つ、現場で実際に使い比べた経験をもとに紹介する。無料で済む範囲から、企業向けSaaSまで幅広くカバーしたので、自分の環境に合った1本を見つけてほしい。
ExPingの現状と限界|なぜ代替ツールが必要か
ExPingは、複数ホストへの一括Ping実行+結果のCSV保存ができるWindows用フリーソフト。Vectorで公開されていて、ネットワークエンジニアなら一度は使ったことがあるはず。ただ、問題がいくつかある。
| 項目 | ExPingの現状 | 影響 |
|---|---|---|
| 最終更新 | 2005年頃(開発停止) | セキュリティパッチなし |
| 対応OS | Windows XP〜10(32bit前提) | Win11で動作不安定の報告多数 |
| 監視プロトコル | ICMPのみ | SNMP/HTTP/ポート監視不可 |
| 自動化 | GUI操作が前提 | スクリプト連携が困難 |
| 通知機能 | 音声アラートのみ | メール・Slack通知なし |
去年、客先のWindows 11端末にExPingをインストールしようとしたら、起動はするものの5分おきにフリーズする現象が出た。互換モードをWindows 7に変えたら動いたけど、結局その案件ではfpingに切り替えた。ExPing自体は優秀なソフトなんだけど、2026年の環境でメインツールにするにはちょっと厳しいのが正直なところ。
とはいえ、ExPingの「複数IPに同時Ping → 結果を一覧表示」というシンプルさは今でも捨てがたい。なので代替ツールを探すときも、まずはこの使い勝手に近いものから試すのがおすすめ。
ExPing代替ツール5選を徹底比較
ここからは、ExPingの代替として実際に現場で使ったことがあるツールを5つ紹介する。「無料のPingツール」から「本格的な監視SaaS」まで段階的に並べたので、自分の用途に合わせて選んでほしい。
① ExPing(改めて整理)— 小規模Ping監視の定番
まずExPing自体を改めて整理しておく。代替を探す前に「本当にExPingじゃダメなのか?」を確認するのが先。Windows 10以前の環境で、ICMP Pingだけ打てれば十分、という場面ならExPingは今でも最適解だと思う。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 完全無料 |
| 対応OS | Windows(32bit) |
| 監視方式 | ICMP Ping |
| メリット | 日本語GUI・直感的操作・ログCSV保存・音声アラート |
| デメリット | 開発停止・Win11不安定・CLIなし・SNMP非対応 |
| 向いている人 | Win10以前の環境で手軽にPingしたい人 |
② fping — CLIで高速に大量Ping
fpingは、ExPingのCLI版みたいなツール。もともとLinux用だけど、Windows版もある。最大の強みは「数百台に同時にPingを打てるスピード」で、標準のpingコマンドとは比較にならないほど速い。
# IPリストファイルから一括Ping fping -f ip_list.txt -c 5 -q # サブネット全体をスキャン fping -g 192.168.1.0/24 -c 3 -q # 到達不能ホストだけ表示 fping -f ip_list.txt -u
ちなみに、fpingの出力をgrepやawkでフィルタすれば、ダウンしたホストだけSlackに通知するスクリプトも簡単に組める。ExPingにはできない芸当。
③ PRTG Network Monitor — GUIで本格監視を無料から
PRTGはPaessler社のネットワーク監視ツールで、100センサーまで無料で使える。「センサー」というのはPRTGの監視単位で、Pingセンサー1つ=1ホストの死活監視、みたいな換算。100台までなら実質タダ。
ExPingとの最大の違いは、Ping以外にSNMP・HTTP・ポート監視・トラフィック監視までカバーできる点。GUIも洗練されていて、ダッシュボードでネットワーク全体の状態を一目で把握できる。
PRTGの無料枠は100センサーだけど、Ping + SNMPトラフィック + CPU使用率で1台あたり3〜4センサー消費する。つまり実質25〜30台が上限。それを超えるなら有料プラン(年間約20万円〜)に移行が必要になる。導入前に監視対象の台数を棚卸ししておくこと。
④ Zabbix — OSSで本格的なインフラ監視基盤
Zabbixはオープンソースの統合監視ツール。ぶっちゃけExPingの「代替」というよりは「完全上位互換」で、SNMP Trap受信・エージェント監視・グラフ描画・障害通知まで全部入り。ただし、構築と運用はそれなりに手間がかかる。
自分の感覚だと、Zabbixサーバーの初期構築に半日、監視テンプレートの調整に丸1日。ExPingが5分で使えることを考えると、学習コストの差は歴然。でも一度構築してしまえば、数百台規模のネットワークを24時間365日自動監視できるようになる。
⑤ Datadog — クラウド時代のSaaS監視
Datadogはクラウドベースの監視SaaS。オンプレのネットワーク機器だけでなく、AWS・Azure・GCPのリソースもまとめて監視できるのが強い。エージェントを各サーバーにインストールするだけで、CPU・メモリ・ネットワークのメトリクスを自動収集してくれる。
正直なところ、ExPingの代替としてDatadogを選ぶのはオーバーキルな場合が多い。月額が1ホストあたり約$15〜と高額だし。ただ、クラウドとオンプレが混在する環境で「全部まとめて1画面で見たい」なら、Datadogの右に出るものは少ない。
ExPing代替ツール比較表|料金・機能・難易度を一覧で
| ツール | 料金 | 対応OS | 監視方式 | 難易度 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| ExPing | 無料 | Windows | ICMP | ★☆☆☆☆ | 小規模・一時的なPing確認 |
| fping | 無料 | Linux/Mac/Win | ICMP | ★★☆☆☆ | CLI操作・大量ホスト・スクリプト連携 |
| PRTG | 100センサー無料 | Windows | ICMP/SNMP/HTTP/WMI | ★★★☆☆ | 中小規模・GUI重視・複合監視 |
| Zabbix | 無料(OSS) | Linux(サーバー) | ICMP/SNMP/Agent/JMX | ★★★★☆ | 大規模・本格監視基盤・自動復旧 |
| Datadog | $15〜/ホスト/月 | クラウドSaaS | Agent/API/SNMP | ★★★☆☆ | クラウド混在環境・ダッシュボード重視 |
図1: 導入の手軽さ比較
95%
80%
65%
55%
30%
無料ツールと有料SaaSの使い分け指南
「無料でいいじゃん」と思うかもしれないけど、それはケースバイケース。自分が現場で判断するときの基準はこんな感じ。
監視対象が50台以下で、死活監視(Ping応答の有無)だけ確認できればOKな場合。構築・メンテ工事の一時的な疎通確認とか、検証環境のPing監視とか。こういう場面でZabbixを立てるのは時間の無駄だし、Datadogに月額を払う意味もない。
SNMPでトラフィック量やCPU使用率も取りたい、障害時にメールやSlackで自動通知したい、過去の稼働率をグラフで見たい——こういう要件が出てきたら無料Pingツールでは限界。PRTGは100センサーまで無料で始められるから、まずPRTGで試して、規模が大きくなったらZabbixへ移行するのが現実的なパスだと思う。
オンプレとクラウドが混在していて、AWSのEC2もオフィスのCatalystも同じダッシュボードで見たい場合。あるいは、監視サーバーの運用自体をやりたくない(SaaSに任せたい)場合。コストはかかるけど、運用工数を考えると結果的に安くつくこともある。
この記事ではアフィリエイトリンクは貼っていない。各ツールの公式サイトは記事内のツール名で検索すればすぐ見つかる。将来的に公式リンクを追加する予定なので、ブックマークしておいてもらえると嬉しい。
fpingの導入と基本的な使い方
ExPingの代替として一番手軽なfpingの導入手順を簡単に紹介しておく。Linux(Ubuntu/Debian)の場合はaptで一発。
# Ubuntu/Debian sudo apt install fping # CentOS/RHEL sudo yum install fping # macOS(Homebrew) brew install fping # バージョン確認 fping --version
# 単一ホストにPing fping 192.168.1.1 # 複数ホストに同時Ping fping 192.168.1.1 192.168.1.2 192.168.1.254 # IPリストファイルから読み込み(ExPingのファイル読み込みに相当) fping -f ip_list.txt # 5回ずつPingして統計表示(ExPingの繰り返しPingに相当) fping -f ip_list.txt -c 5 # 到達不能なホストだけ表示 fping -f ip_list.txt -u
fpingはroot権限(またはsetuid)が必要な場合がある。「Operation not permitted」が出たらsudoで実行するか、setuidを設定すること。また、ファイアウォールでICMPがブロックされている環境では当然Pingが通らないので、監視対象側のACLも確認しよう。
現場で実際にどう使い分けているか
自分の場合、3つのツールを場面によって使い分けている。参考までに書いておく。
| 場面 | 使うツール | 理由 |
|---|---|---|
| 現場でのケーブル疎通確認 | ExPing | ノートPCですぐ使える・結果が見やすい |
| 夜間メンテの一括疎通試験 | fping | 200台以上にPing→結果CSV化が速い |
| 常時監視(中小規模) | PRTG | Ping+SNMP監視が100センサー無料 |
| 常時監視(大規模) | Zabbix | 台数制限なし・テンプレート豊富 |
| クラウド混在環境の統合監視 | Datadog | AWS+オンプレを1画面で見られる |
「1つのツールに統一する」必要はない。自分は今でもExPingをノートPCに入れてあるし、検証環境ではfpingを使うし、本番監視はZabbixに任せている。用途に合わせて使い分けるのが一番効率がいい。
まとめ|ExPing代替は用途で選ぶのが正解
ExPingは今でも使えるけど、Windows 11対応やSNMP監視には限界がある。代替としては、CLI派ならfping、GUI派ならPRTG(100センサー無料)がExPingからの移行先として手軽。本格的なインフラ監視基盤を作るならZabbix、クラウド混在環境ならDatadog。1つに絞る必要はなく、用途に応じて使い分けるのがベスト。
よくある質問(FAQ)
Q. ExPingはWindows 11で使えますか?
起動自体はできるが、動作が不安定になるケースが報告されている。互換モードをWindows 7やXPに変更すると改善する場合もある。ただし根本的な対応ではないので、安定稼働が必要な場面ではfpingやPRTGの利用を検討したほうがいい。
Q. 無料でSNMP監視までできるツールはありますか?
Zabbixなら完全無料でSNMP監視が可能。PRTGも100センサーまで無料で使えて、SNMP・HTTP・WMI監視に対応している。小規模ならPRTG、大規模ならZabbixがおすすめ。
Q. fpingとpingコマンドの違いは何ですか?
標準のpingは1ホストずつ順番に実行するが、fpingは複数ホストに並列でPingを打てる。100台にPingする場合、pingコマンドだと数分かかるがfpingなら数秒で完了する。また、到達不能ホストだけをフィルタ表示する機能もfpingの強み。


