ネットワーク業務では、疎通確認のためにpingやtracertを実行する場面が多くあります。コマンドプロンプトで1台ずつ打つのは非効率ですし、設定変更中にリアルタイムで疎通を確認したい場面ではなおさらです。
そこで役立つのがEXPingです。GUIで複数の宛先を一括管理してping・tracertを実行でき、定期的な自動実行で「いつ疎通が切れたか」まで記録できます。本記事では、ダウンロード方法から設定・活用方法まで現場目線で解説します。
スイッチの設定変更作業中に「いつ通信が止まったのか」を正確に記録する必要がありました。コマンドプロンプトのpingでは履歴が流れて消えてしまい、タイムスタンプも残りません。
EXPingの「定期的に実行する」を事前にONにしておくと、pingが失敗した時刻まで一覧で記録されます。「XX時XX分にpingが途切れた」という証跡が残るので、作業後の報告書作成がとても楽になりました。作業前に起動しておくだけの手軽さが気に入っています。
EXPingとは
EXPingはWoodybellsが開発・配布しているWindows向けの無料ネットワーク診断ツールです。複数の宛先へのping・tracertをGUIで一括管理でき、コマンドを手打ちしなくても直感的に操作できます。
ダウンロードとインストール手順
以下の公式サイトにアクセスしてEXPingをダウンロードします。
ダウンロードしたファイルは.LHA形式の圧縮ファイルです。Windowsのエクスプローラーではそのまま展開できないため、解凍ソフトが必要です。
| 解凍ソフト | 特徴 |
|---|---|
| Lhasa | LHA形式専用の老舗解凍ソフト。シンプルで軽い |
| 7-Zip | LHA・ZIP・RARなどを幅広くサポート。無料かつ現在も更新中のため安心 |
解凍後のフォルダにあるExPing.exeをダブルクリックすれば即座に起動します。インストール作業は不要で、任意のフォルダに置いてすぐ使えます。
基本的な使い方
ツールバーのアイコン一覧
EXPingのツールバーには操作に必要なアイコンが並んでいます。よく使うのはPing開始・停止・TracerRoute実行のアイコンです。
| 操作 | アイコン | 動作 |
|---|---|---|
| Ping開始 | 5台並んだ赤い丸アイコン | 登録した全宛先に一括でpingを開始 |
| Ping停止 | Ping開始アイコンの隣のバツ印アイコン | 実行中のpingを停止 |
| TracerRoute実行 | PCが3台並んだアイコン | 経路情報(tracert)を実行。結果は「TraceRoute」タブに表示 |
| 結果確認 | 「Ping結果」「Ping統計」「TraceRoute」タブ | 各タブで結果・成功率・経路情報を確認 |
環境設定の詳細
「環境」タブでpingの詳細な動作を設定します。以下が実際の設定画面です。
上の画面では繰り返し回数3回・実行間隔1000ms・ブロックサイズ64バイト・タイムアウト1000ms・TTL255・最大HOPS20が設定されています。右側の「定期的に実行する(5分間隔)」にチェックを入れると、指定間隔でpingを自動実行し続けます。
| 設定項目 | 内容 | 実務での使い方 |
|---|---|---|
| 繰り返し回数 | Pingを何回繰り返すか(デフォルト3回) | 確認用途なら3〜10回程度で十分 |
| 実行間隔 | Pingを送信する間隔(ミリ秒) | 1000ms(1秒)が一般的。負荷をかけたくない環境では長めに設定 |
| ブロックサイズ | 送信するICMPパケットのサイズ(バイト) | MTU確認や大きなパケットの疎通テストに活用 |
| タイムアウト | 応答がなければ何ミリ秒で切るか | 遅延が大きいWAN回線では長めに設定(3000ms以上) |
| TTL | Time To Live(経路上の最大ホップ数) | 255に設定することで多段ルーティング環境でも問題なく到達できる |
| TraceRoute最大HOPS | tracertの最大ホップ数の上限 | 社内確認なら20程度で十分 |
| ホスト名の解決 | IPアドレスから名前解決するかどうか | 有効にするとホスト名で表示。DNSが遅い環境では無効にして速度改善 |
| 繰り返し順序 | ソートしない(A-A-B-B)または端末でソート(A-B-A-B) | 複数宛先を交互にpingしたい場合は「端末でソート」を選択 |
| 定期的に実行する | 指定した分間隔で自動実行 | 最重要設定。設定変更前に有効化して障害発生時刻をタイムスタンプで記録する |
Ping結果・Ping統計タブの見方
Ping結果タブ:タイムスタンプ付きの履歴一覧
「Ping結果」タブでは、pingを実行した日時・対象・IPアドレス・ステータスが時系列で記録されます。コマンドプロンプトとは異なりすべての実行結果がタイムスタンプ付きで残るため、「いつ疎通が切れたか」の証跡として活用できます。
上の画面では8.8.8.8(Google Public DNS)へのpingが1秒間隔で実行され、すべて「OK」で10〜15msの応答時間が記録されています。もしこの中に「NG」が混じっていれば、その時刻に通信断があったことを正確に特定できます。
Ping統計タブ:成功率・応答時間の集計
「Ping統計」タブでは、宛先ごとの実施回数・失敗回数・失敗率・最短/最大/平均応答時間が集計されます。作業前後の通信品質の比較や報告書の記載に役立ちます。
上の画面では8.8.8.8への3回のpingがすべて成功(失敗率0%)で、最短10ms・最大15ms・平均12msと安定していることが確認できます。作業前後でこの数値を比較することで、通信品質の変化を数値として報告書に残せます。
実務での活用シナリオ
① 設定変更前の連続ping監視(最もよく使う)
ネットワーク機器の設定変更前にEXPingを起動して「定期的に実行する」を有効にしておきます。変更中に通信が断絶した場合、pingが失敗したタイムスタンプが「Ping結果」タブに記録されるため、障害発生時刻を正確に特定できます。
② 複数機器の一括疎通確認
新規導入したスイッチやルータの疎通確認を行う際、各機器のIPアドレスをあらかじめ「対象」タブに登録しておくことで、一覧で全機器の疎通状態を確認できます。コマンドプロンプトで1台ずつpingを打つ手間がなくなります。
③ tracertによる経路調査
「pingは通るが遅い」「特定の宛先への経路がおかしい」という場面でtracertを使います。EXPingならPCが3台並んだアイコンをクリックするだけで実行でき、各ホップの応答時間が「TraceRoute」タブに一覧表示されます。
④ ブロックサイズを使ったMTU確認
「ブロックサイズ」設定を変えることで、異なるサイズのICMPパケットを送信できます。VPN環境でMTUを確認したい場合に、段階的にサイズを変えながらpingを打つことで手動のMTU調査と同様の確認ができます。
他のping監視ツールとの比較
| ツール | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| EXPing | GUI・無料・インストール不要・tracert対応・定期実行・タイムスタンプ記録 | 作業前後の疎通監視・複数宛先一括確認 |
| コマンドプロンプト(ping) | どのWindowsにも標準搭載。ツール不要 | 単一宛先のすぐ確認したい場面 |
| Tera Term(ping機能) | ネットワーク機器のCLIからpingを実行できる | 機器側からの疎通確認 |
| WinMTR | pingとtracertを同時実行し継続的に記録 | 経路障害の詳細調査・どのホップでロスが出るか特定 |
運用時の注意点
まとめ
EXPingはpingとtracertをGUIで一括管理・実行できる、ネットワークエンジニアの日常業務に非常に役立つ無料ツールです。
- ダウンロードはhttps://www.woodybells.com/exping.htmlから。LHA形式はLhasaまたは7-Zipで解凍
- インストール不要。ExPing.exeをダブルクリックすればすぐ使える
- 「定期的に実行する」を設定変更前にONにしておくと、Ping結果タブに障害発生時刻がタイムスタンプ付きで記録される
- Ping統計タブで成功率・最短/最大/平均応答時間を確認・報告書に記載できる
- 複数宛先を登録して一括ping・tracertが実行でき、手動コマンドより大幅に効率化
- ブロックサイズを変えることでMTU確認にも活用できる
設定変更作業のたびにコマンドプロンプトを開いてpingを打っているエンジニアには特におすすめです。一度使い始めると手放せない定番ツールになります。


