Windows EXPing ping tracert ネットワーク診断

ネットワーク業務では、疎通確認のためにpingtracertを実行する場面が多くあります。コマンドプロンプトで1台ずつ打つのは非効率ですし、設定変更中にリアルタイムで疎通を確認したい場面ではなおさらです。

そこで役立つのがEXPingです。GUIで複数の宛先を一括管理してping・tracertを実行でき、定期的な自動実行で「いつ疎通が切れたか」まで記録できます。本記事では、ダウンロード方法から設定・活用方法まで現場目線で解説します。

👷 現場での体験談

スイッチの設定変更作業中に「いつ通信が止まったのか」を正確に記録する必要がありました。コマンドプロンプトのpingでは履歴が流れて消えてしまい、タイムスタンプも残りません。

EXPingの「定期的に実行する」を事前にONにしておくと、pingが失敗した時刻まで一覧で記録されます。「XX時XX分にpingが途切れた」という証跡が残るので、作業後の報告書作成がとても楽になりました。作業前に起動しておくだけの手軽さが気に入っています。

EXPingとは

EXPingはWoodybellsが開発・配布しているWindows向けの無料ネットワーク診断ツールです。複数の宛先へのping・tracertをGUIで一括管理でき、コマンドを手打ちしなくても直感的に操作できます。

🎯
複数宛先を一覧管理
IPアドレスやドメイン名を事前登録しておけば、一括でpingを実行・管理できる
⏱️
連続・定期ping
指定間隔で自動実行。「いつ疎通が切れたか」をタイムスタンプで記録できる
🗺️
tracert対応
ボタン1つで経路情報(tracert)を実行し結果をタブに表示
📊
統計情報の表示
Ping統計タブで成功率・失敗回数・応答時間を一覧表示
図1:EXPingが活躍するシーン(現場経験ベース)

ダウンロードとインストール手順

1
公式サイトからダウンロードする

以下の公式サイトにアクセスしてEXPingをダウンロードします。

https://www.woodybells.com/exping.html
2
LHA形式の圧縮ファイルを解凍する

ダウンロードしたファイルは.LHA形式の圧縮ファイルです。Windowsのエクスプローラーではそのまま展開できないため、解凍ソフトが必要です。

解凍ソフト特徴
LhasaLHA形式専用の老舗解凍ソフト。シンプルで軽い
7-ZipLHA・ZIP・RARなどを幅広くサポート。無料かつ現在も更新中のため安心
3
ExPing.exeを実行する

解凍後のフォルダにあるExPing.exeをダブルクリックすれば即座に起動します。インストール作業は不要で、任意のフォルダに置いてすぐ使えます。

基本的な使い方

ツールバーのアイコン一覧

EXPingのツールバーには操作に必要なアイコンが並んでいます。よく使うのはPing開始・停止・TracerRoute実行のアイコンです。

EXPingツールバーアイコン一覧
図2:EXPingのツールバー。左からファイル操作・Ping開始/停止・TracerRoute・設定などのアイコンが並ぶ
操作アイコン動作
Ping開始5台並んだ赤い丸アイコン登録した全宛先に一括でpingを開始
Ping停止Ping開始アイコンの隣のバツ印アイコン実行中のpingを停止
TracerRoute実行PCが3台並んだアイコン経路情報(tracert)を実行。結果は「TraceRoute」タブに表示
結果確認「Ping結果」「Ping統計」「TraceRoute」タブ各タブで結果・成功率・経路情報を確認

環境設定の詳細

「環境」タブでpingの詳細な動作を設定します。以下が実際の設定画面です。

EXPing環境設定タブのスクリーンショット
図3:EXPingの環境設定タブ。繰り返し回数・実行間隔・ブロックサイズ・TTLなどを設定できる。右側の「定期的に実行する」が連続監視の要

上の画面では繰り返し回数3回・実行間隔1000ms・ブロックサイズ64バイト・タイムアウト1000ms・TTL255・最大HOPS20が設定されています。右側の「定期的に実行する(5分間隔)」にチェックを入れると、指定間隔でpingを自動実行し続けます。

設定項目内容実務での使い方
繰り返し回数Pingを何回繰り返すか(デフォルト3回)確認用途なら3〜10回程度で十分
実行間隔Pingを送信する間隔(ミリ秒)1000ms(1秒)が一般的。負荷をかけたくない環境では長めに設定
ブロックサイズ送信するICMPパケットのサイズ(バイト)MTU確認や大きなパケットの疎通テストに活用
タイムアウト応答がなければ何ミリ秒で切るか遅延が大きいWAN回線では長めに設定(3000ms以上)
TTLTime To Live(経路上の最大ホップ数)255に設定することで多段ルーティング環境でも問題なく到達できる
TraceRoute最大HOPStracertの最大ホップ数の上限社内確認なら20程度で十分
ホスト名の解決IPアドレスから名前解決するかどうか有効にするとホスト名で表示。DNSが遅い環境では無効にして速度改善
繰り返し順序ソートしない(A-A-B-B)または端末でソート(A-B-A-B)複数宛先を交互にpingしたい場合は「端末でソート」を選択
定期的に実行する指定した分間隔で自動実行最重要設定。設定変更前に有効化して障害発生時刻をタイムスタンプで記録する

Ping結果・Ping統計タブの見方

Ping結果タブ:タイムスタンプ付きの履歴一覧

「Ping結果」タブでは、pingを実行した日時・対象・IPアドレス・ステータスが時系列で記録されます。コマンドプロンプトとは異なりすべての実行結果がタイムスタンプ付きで残るため、「いつ疎通が切れたか」の証跡として活用できます。

EXPing Ping結果タブのスクリーンショット
図4:Ping結果タブ。8.8.8.8へのpingが2025/07/12 21:40:35〜42にかけて全てOK(10〜15ms)でタイムスタンプ付きで記録されている

上の画面では8.8.8.8(Google Public DNS)へのpingが1秒間隔で実行され、すべて「OK」で10〜15msの応答時間が記録されています。もしこの中に「NG」が混じっていれば、その時刻に通信断があったことを正確に特定できます。

Ping統計タブ:成功率・応答時間の集計

「Ping統計」タブでは、宛先ごとの実施回数・失敗回数・失敗率・最短/最大/平均応答時間が集計されます。作業前後の通信品質の比較や報告書の記載に役立ちます。

EXPing Ping統計タブのスクリーンショット
図5:Ping統計タブ。8.8.8.8へのping:3回実施・失敗0回・失敗率0%・最短10ms・最大15ms・平均12msと一覧表示される

上の画面では8.8.8.8への3回のpingがすべて成功(失敗率0%)で、最短10ms・最大15ms・平均12msと安定していることが確認できます。作業前後でこの数値を比較することで、通信品質の変化を数値として報告書に残せます。

ℹ Ping結果とPing統計の使い分け Ping結果タブは「いつ・何ms で応答があったか」の時系列ログです。障害発生時刻の特定に使います。Ping統計タブは「全体的に何%成功して平均何msだったか」の集計です。作業前後の通信品質の比較や報告書への記載に使います。

実務での活用シナリオ

① 設定変更前の連続ping監視(最もよく使う)

ネットワーク機器の設定変更前にEXPingを起動して「定期的に実行する」を有効にしておきます。変更中に通信が断絶した場合、pingが失敗したタイムスタンプが「Ping結果」タブに記録されるため、障害発生時刻を正確に特定できます。

① 作業前にEXPingを起動、宛先(デフォルトGWや対向機器IP)を登録
② 「定期的に実行する」にチェック → Ping開始ボタンをクリック
③ 設定変更作業を実施(EXPingは最小化したまま継続実行)
④ Ping結果タブで失敗時刻を確認 → Ping統計タブで成功率を確認して報告書に記録

② 複数機器の一括疎通確認

新規導入したスイッチやルータの疎通確認を行う際、各機器のIPアドレスをあらかじめ「対象」タブに登録しておくことで、一覧で全機器の疎通状態を確認できます。コマンドプロンプトで1台ずつpingを打つ手間がなくなります。

③ tracertによる経路調査

「pingは通るが遅い」「特定の宛先への経路がおかしい」という場面でtracertを使います。EXPingならPCが3台並んだアイコンをクリックするだけで実行でき、各ホップの応答時間が「TraceRoute」タブに一覧表示されます。

④ ブロックサイズを使ったMTU確認

「ブロックサイズ」設定を変えることで、異なるサイズのICMPパケットを送信できます。VPN環境でMTUを確認したい場合に、段階的にサイズを変えながらpingを打つことで手動のMTU調査と同様の確認ができます。

他のping監視ツールとの比較

ツール特徴向いている用途
EXPingGUI・無料・インストール不要・tracert対応・定期実行・タイムスタンプ記録作業前後の疎通監視・複数宛先一括確認
コマンドプロンプト(ping)どのWindowsにも標準搭載。ツール不要単一宛先のすぐ確認したい場面
Tera Term(ping機能)ネットワーク機器のCLIからpingを実行できる機器側からの疎通確認
WinMTRpingとtracertを同時実行し継続的に記録経路障害の詳細調査・どのホップでロスが出るか特定

運用時の注意点

⏱️
実行間隔の調整
間隔を短くしすぎると機器への負荷になる。作業監視には1000〜2000ms程度が適切
🔥
帯域への影響に注意
ブロックサイズを大きくして高頻度で実行すると細い回線に影響が出る場合がある
🔒
FWのICMPブロックに注意
ファイアウォールでICMPがブロックされていると実際には疎通できても失敗と表示される場合がある
💾
宛先リストの保存
頻繁に使う宛先リストはファイルに保存しておくと次回すぐに読み込める

まとめ

EXPingはpingとtracertをGUIで一括管理・実行できる、ネットワークエンジニアの日常業務に非常に役立つ無料ツールです。

  • ダウンロードはhttps://www.woodybells.com/exping.htmlから。LHA形式はLhasaまたは7-Zipで解凍
  • インストール不要。ExPing.exeをダブルクリックすればすぐ使える
  • 「定期的に実行する」を設定変更前にONにしておくと、Ping結果タブに障害発生時刻がタイムスタンプ付きで記録される
  • Ping統計タブで成功率・最短/最大/平均応答時間を確認・報告書に記載できる
  • 複数宛先を登録して一括ping・tracertが実行でき、手動コマンドより大幅に効率化
  • ブロックサイズを変えることでMTU確認にも活用できる

設定変更作業のたびにコマンドプロンプトを開いてpingを打っているエンジニアには特におすすめです。一度使い始めると手放せない定番ツールになります。