ネットワークエンジニアの仕事は、これまで「Ciscoルータ設定」や「FortiGate VPN構築」といった 手作業中心のタスクが主流でした。しかし近年は、AIや自動化の技術が急速に進化し、業務の在り方が大きく変わりつつあります。 本記事では、従来のツール(Wireshark、Tera Term、GNS3など)を押さえつつ、AIを活用した 新しい働き方やネットワークエンジニアに求められるスキルを解説します。
従来のネットワークエンジニア業務
まずはAI導入前の従来型業務を整理してみましょう。ネットワークエンジニアは日常的に以下のタスクを行ってきました。
- Ciscoルータ設定:ルーティングやACL(アクセスリスト)の構築
- FortiGate VPNの構築:リモートアクセスや拠点間VPNをCLIやGUIで設定
- 監視ツールの利用:SolarWindsやZabbixを用いた死活監視・トラフィック監視
- トラブル対応:WiresharkでのパケットキャプチャやTera Termでのログ取得
これらはネットワークの安定稼働に不可欠ですが、同時に「設定作業の属人化」「トラブル対応に時間がかかる」といった課題もありました。
AIと自動化がもたらす変革
AIや自動化技術の普及により、ネットワークエンジニアの作業は効率化・高度化しています。 従来手作業だった設定やログ解析が、自動化ツールやAIによって支援されるようになってきました。 具体的な変化は以下の通りです。
- 設定自動化:Ansibleを利用してCiscoルータ設定を複数台に一括適用
- 異常検知:FortiGateのログをAIが解析し、不審なVPNトラフィックを即時に通知
- 監視高度化:SolarWindsやPRTGのデータを機械学習で分析し、障害予兆を検出
- ナレッジ生成:ChatGPTなどを利用して設定手順書やトラブルシュート手順を自動下書き
ネットワーク構成図とAIの役割
ここで、CiscoルータとFortiGateを組み合わせたネットワーク構成図を例に考えてみます。 この構成は企業ネットワークでよく見られるもので、ルータが外部接続を担い、FortiGateが内部のセキュリティを制御します。 AIの役割は、この構成を監視・運用するうえで「人が行っていた判断を補完すること」です。
例えば、CiscoルータのACL設定に誤りがあればAIが推定原因を提示し、FortiGateのログに不自然なVPN接続があれば即時にアラートを出すといった具合です。
実例:Ciscoルータ設定とAnsible
従来はTera Termで1台ずつCiscoルータにログインし、設定を投入していました。 Ansibleを使えば、プレイブックに定義した設定を複数のルータに一斉適用できます。
さらに、AIを組み合わせると以下のようなことが可能になります。
- 入力した設定内容をチェックし、誤りや不足を指摘
- ACLやルーティング設定の意図を自動で解説
- エラーメッセージを解析し、修正案を提示
これにより、従来数時間かかっていた作業が大幅に短縮され、ヒューマンエラーの削減にもつながります。
FortiGate VPNとAIログ解析
「FortiGate VPN」がうまく接続できないとき、従来はCLIデバッグやWiresharkでのパケット解析に頼っていました。 AIを導入すると、ログを解析して「IKEフェーズ1の認証失敗」「暗号アルゴリズムの不一致」といった具体的な原因を即座に提示できます。
これにより、従来数時間かかっていたトラブルシューティングが数分で完了するケースも出てきています。
ネットワーク監視ツールとAI
「ネットワーク監視ツール 比較」で調べると多くの製品が見つかりますが、 AIと組み合わせることで従来以上の価値を発揮します。
例えばSolarWindsの監視ログをAIで解析すれば、CPU使用率や帯域使用量の急激な変化から障害予兆を発見できます。 ZabbixやPRTGといったツールでも同様に、AIは「単なる監視」から「予測型運用」へと進化させる役割を担います。
AI時代に求められるネットワークエンジニアのスキル
AI時代のネットワークエンジニアには、従来のCLIスキルに加えて以下の能力が求められます。
- PythonやAnsibleなどによる自動化スクリプトの作成
- ログ解析やAIツールを活用したトラブルシュート
- ネットワーク構成図や設計資料を効率的に作成・更新するスキル
- クラウド(AWS, Azure, GCP)とオンプレミス機器のハイブリッド運用能力
つまり、単なる「設定担当者」から「AIと協働するエンジニア」へと進化していく必要があります。
まとめ
本記事では「AI時代のネットワークエンジニアの仕事」について解説しました。 従来のCiscoルータ設定やFortiGate VPN構築に加え、 AIや自動化ツール(Ansible、ChatGPTなど)を組み合わせることで、業務は効率化・高度化しています。
これからのエンジニアは、WiresharkやGNS3といった従来ツールを使いこなしつつ、AIを積極的に取り入れることで 「予測型・自動化型の運用」に対応できる力を磨くことが重要です。
AIはネットワークエンジニアの仕事を奪うのではなく、むしろ業務を強力に支援するパートナーです。 未来を見据えたスキル習得を進めていきましょう。