はじめに:CiscoルータにTelnet接続するには

Ciscoルータやスイッチへリモートでアクセスするための手段として「Telnet」があります。Telnetは古くから使われているプロトコルで、初期設定やローカルネットワーク内での簡易な接続に便利です。

本記事では、CiscoルータにTelnet接続を有効化するための設定手順と、設定に含まれる「transport input」コマンドの意味についても詳しく解説します。

図1:PCからCiscoルータにTelnetでアクセスする基本構成

前提条件と準備

必要な機器とソフト

  • Ciscoルータ(例:ISR 900/1000シリーズ)
  • Telnetクライアント(Tera TermやPuTTYなど)
  • PCとルータがIP通信可能な状態

使用するターミナルソフト

接続確認には、Tera TermのようなTelnet対応ターミナルソフトを使用します。「Tera Term 使い方」で検索すれば、初歩的な操作ガイドが見つかります。

Telnet接続のためのCiscoルータ設定手順

1. インターフェースにIPアドレスを設定

Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# interface GigabitEthernet0/0
Router(config-if)# ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
Router(config-if)# no shutdown
Router(config-if)# exit

2. VTYラインのパスワード設定

Router(config)# line vty 0 4
Router(config-line)# password cisco
Router(config-line)# login
Router(config-line)# transport input telnet
Router(config-line)# exit

上記の「transport input telnet」コマンドが、VTYラインにおける接続プロトコルを指定する重要な設定です。

3. enableパスワードの設定

Router(config)# enable secret cisco123

Telnet接続後、特権モード(#プロンプト)へ入る際に必要です。

図2:Telnet接続時の処理フロー

transport input コマンドの詳細解説

transport input」コマンドは、VTYライン(リモート接続用の仮想端末)において、どのプロトコルを許可するかを指定します。

  • transport input telnet:Telnet接続のみ許可
  • transport input ssh:SSH接続のみ許可
  • transport input all:すべてのプロトコル(Telnet、SSHなど)を許可
  • transport input none:すべてのリモートアクセスを拒否

Telnetしか使わない場合は「telnet」のみを指定することで、不要なプロトコルの露出を防げます。

接続確認手順

PCからTera Termなどを使って、ルータのIPアドレスへTelnetで接続を試みます:

telnet 192.168.10.1

パスワード入力後にユーザモードへ、enable入力後にパスワードを求められ、特権モードに入ることができます。

Telnet接続がうまくいかない時の確認ポイント

  • IPアドレス設定とインターフェース状態(no shutdown済か)
  • VTYラインのパスワード設定とloginの有無
  • ACLやファイアウォールによるポート23のブロック
  • 物理的な接続やVLAN設定の不備

セキュリティ面での注意点

Telnetは通信内容が平文で送信されるため、第三者に盗聴されるリスクがあります。セキュリティが求められる環境では使用を避け、可能な限りSSHなどの暗号化プロトコルを利用すべきです。

まとめ

今回はCiscoルータでTelnet接続を有効にするための基本設定と、「transport input」コマンドの意味について解説しました。

本記事で紹介した内容は、仮想環境(例:GNS3 シミュレータ)でも再現可能ですので、学習やテストにぜひ活用してください。また、業務では「Cisco ルータ 設定」を行う際、セキュリティも意識した設計が求められることを忘れずに。