はじめに

ネットワークでデータが送信されるとき、「どのルートを通って目的地へ届くのか?」はルーティングの仕組みによって決まります。今回は、パケットがどうやって流れるのか、そしてルーターが経路をどう選ぶのかというPath選定の基本を解説します。

パケットの流れの基本

通信の仕組み(送信から受信まで)

  1. PCが宛先IPにデータを送る
  2. デフォルトゲートウェイに転送(ルーター)
  3. ルーターがルーティングテーブルを参照
  4. 次のルーターへ転送(複数ある場合は最適な経路)
  5. 最終的に宛先に到達し、レスポンスが返ってくる

OSIモデルとの対応

  • レイヤ3(ネットワーク層)でIPパケットの転送
  • レイヤ2(データリンク層)でMACアドレスによる転送

ルーティングテーブルの見方

ルーターはルーティングテーブルをもとに、パケットの転送先を判断します。

showコマンド例

show ip route

出力例:

C    192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0
S    0.0.0.0/0 [1/0] via 192.168.1.1
R    10.0.0.0/8 [120/1] via 192.168.2.1, 00:00:12, Serial0/0
  • C:直接接続されたネットワーク
  • S:スタティックルート
  • R:RIPによる学習経路

Path選定のルール

ルーターが複数の経路を知っているとき、どの経路を使うかは以下のルールで決まります。

1. プレフィックスの一致度(最長一致)

最も具体的なネットワーク(ビット数の多いサブネット)を優先

2. 管理距離(AD:Administrative Distance)

信頼性の優先順位。数値が小さいほど信頼性が高い。

経路の種類AD値
直接接続0
スタティック1
EIGRP90
OSPF110
RIP120

3. メトリック(Metric)

同じプロトコル内での距離やコストの比較

  • RIP:ホップ数
  • OSPF:帯域幅
  • EIGRP:複数要素(帯域・遅延など)

実機コマンドで流れを確認

トラブル調査の基本

ping 10.0.0.1
traceroute 10.0.0.1
show ip route

各パケットの流れを可視化するには

debug ip packet

※ 本番環境では慎重に使用

CCNAではこう出る!

出題ポイントまとめ

  • パケットはデフォルトゲートウェイ→ルーター→宛先へと順に転送される
  • ルーターは最長一致ルールで経路を選び、ADとメトリックでさらに選別
  • show ip route コマンドでルーティングテーブルを確認できる
  • traceroutepingで実際のパスを追跡
  • OSIモデルとの関連も出題されやすい

おわりに

今回は「パケットの流れとPath選定の仕組み」について解説しました。これで全20テーマの学習が完了です!お疲れさまでした!