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目次
はじめに
ネットワークでデータが送信されるとき、「どのルートを通って目的地へ届くのか?」はルーティングの仕組みによって決まります。今回は、パケットがどうやって流れるのか、そしてルーターが経路をどう選ぶのかというPath選定の基本を解説します。
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パケットの流れの基本
通信の仕組み(送信から受信まで)
- PCが宛先IPにデータを送る
- デフォルトゲートウェイに転送(ルーター)
- ルーターがルーティングテーブルを参照
- 次のルーターへ転送(複数ある場合は最適な経路)
- 最終的に宛先に到達し、レスポンスが返ってくる
OSIモデルとの対応
- レイヤ3(ネットワーク層)でIPパケットの転送
- レイヤ2(データリンク層)でMACアドレスによる転送
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ルーティングテーブルの見方
ルーターはルーティングテーブルをもとに、パケットの転送先を判断します。
showコマンド例
show ip route
出力例:
C 192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0
S 0.0.0.0/0 [1/0] via 192.168.1.1
R 10.0.0.0/8 [120/1] via 192.168.2.1, 00:00:12, Serial0/0
C
:直接接続されたネットワークS
:スタティックルートR
:RIPによる学習経路
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Path選定のルール
ルーターが複数の経路を知っているとき、どの経路を使うかは以下のルールで決まります。
1. プレフィックスの一致度(最長一致)
最も具体的なネットワーク(ビット数の多いサブネット)を優先
2. 管理距離(AD:Administrative Distance)
信頼性の優先順位。数値が小さいほど信頼性が高い。
経路の種類 | AD値 |
---|---|
直接接続 | 0 |
スタティック | 1 |
EIGRP | 90 |
OSPF | 110 |
RIP | 120 |
3. メトリック(Metric)
同じプロトコル内での距離やコストの比較
- RIP:ホップ数
- OSPF:帯域幅
- EIGRP:複数要素(帯域・遅延など)
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実機コマンドで流れを確認
トラブル調査の基本
ping 10.0.0.1
traceroute 10.0.0.1
show ip route
各パケットの流れを可視化するには
debug ip packet
※ 本番環境では慎重に使用
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CCNAではこう出る!
出題ポイントまとめ
- パケットはデフォルトゲートウェイ→ルーター→宛先へと順に転送される
- ルーターは最長一致ルールで経路を選び、ADとメトリックでさらに選別
show ip route
コマンドでルーティングテーブルを確認できるtraceroute
やping
で実際のパスを追跡- OSIモデルとの関連も出題されやすい
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おわりに
今回は「パケットの流れとPath選定の仕組み」について解説しました。これで全20テーマの学習が完了です!お疲れさまでした!