CCNA 200-301の試験範囲のなかでも、OSPFは出題比率がかなり高めの分野。なのに「LSAの種類が覚えきれない」「コスト計算で詰まる」「DR/BDRの選出ルールがあやしい」って人、けっこう多い。実際わたしも受験前夜に詰め込みでやった口です。
この記事では、現役ネットワークエンジニアが現場でも使ってるOSPFの暗算テクニックを、CCNA試験で出る形にぎゅっと圧縮してまとめました。読み終わるころには、OSPF系の問題が30秒〜1分で解けるようになるはず。少なくとも、ふわっと覚えてた知識がカチッと固まります。
LSAタイプを5秒で見分けるコツ/OSPFコストの暗算式/DR・BDR選出の優先順位/ネイバー状態の意味/試験で頻出する4パターンの解法。試験当日に思い出せる「型」が手に入る。
OSPFってそもそも何してるプロトコルか
OSPF(Open Shortest Path First)はリンクステート型のIGP。ざっくり言うと、ルータ同士で「自分が知ってるネットワークの一覧」を交換し合って、最短経路を計算するプロトコル。RIPと違ってメトリックは「コスト(=帯域幅から逆算した値)」を使う。だから速いリンクが優先される。
ここだけの話、CCNA試験で出るOSPFの設問は「OSPFv2のシングルエリア/マルチエリア」「コスト計算」「DR/BDR選出」「ネイバー状態」の4ジャンルに集約される。出題のクセを掴めば、暗算で叩ける問題ばっかり。
以前、客先で50ノード規模のOSPFネットワークを引き継いだとき、エリア設計が雑でLSDB(リンクステートDB)が肥大化してた。Type 5 LSAの再配布が多すぎて、ネイバー張り直しのたびにCPUが90%超え。CCNA試験で「なぜマルチエリアにするのか」を覚えた知識が、まさかそのまま現場で効くとは思わなかった。試験勉強、無駄にならない。
エリアの考え方|なぜ分けるのか
エリアを分ける一番の理由は、SPF計算の負荷とLSAフラッディングの範囲を絞るため。バックボーン(Area 0)に全エリアが繋がる、というルールはCCNAの定番。スター型を意識して、頭の中で図にしておくとすんなり入る。
| エリアの種類 | 流せるLSA | 用途のイメージ |
|---|---|---|
| バックボーン (Area 0) | Type 1〜5すべて | 中央拠点・データセンター |
| 標準エリア | Type 1〜5 | 支店・工場 |
| スタブエリア | Type 5を遮断 | 小規模拠点(外部経路を絞る) |
| トータリースタブ | Type 3/4/5を遮断 | 超小規模・末端ルータ用 |
| NSSA | Type 5を遮断、Type 7で代替 | 外部経路を再配布したい末端 |
図1: OSPFエリア構成の典型例
CCNA頻出のLSAは1〜5の5種類だけ
RFC 2328をちゃんと読むとLSAは11種類くらいある。けど、CCNA 200-301で問われるのは基本5種類。ざっくり「誰が出すか」と「どこまで届くか」を紐付けて覚えると、設問の文章を読んだ瞬間に答えが浮かぶ。
| タイプ | 名前 | 出す人 / 役割 |
|---|---|---|
| Type 1 | Router LSA | 全ルータ。自分のリンク情報をエリア内に |
| Type 2 | Network LSA | DRが発信。マルチアクセスNWの参加者一覧 |
| Type 3 | Summary LSA | ABRが発信。他エリアのプレフィックスを伝える |
| Type 4 | ASBR Summary | ABRが発信。ASBRへの到達情報 |
| Type 5 | External LSA | ASBRが発信。OSPF外(再配布した経路)を伝える |
語呂で覚えると速い。「ルータ・ネットワーク・サマリ・ASサマリ・エクスターナル」。ABRが出すのは3と4、ASBRが出すのは5。これだけで7割の問題は片付く。あとはshow ip ospf databaseの出力を一回見ておくと、頭にすっと入る。
「Type 2はDRがいる環境(broadcast/NBMA)でしか出ない」を忘れがち。point-to-pointリンクではType 2は生成されない。試験ではここを引っかけてくる。
公式は1つだけ覚えればOK
OSPFのコスト計算式はこれ。
コスト = 100,000,000 / 帯域幅(bps)
= 10^8 / bandwidth
これを毎回式で計算するのは面倒。なので主要な帯域のコストを丸暗記しちゃうのが早い。本番ではこの表が頭に入っているかどうかで、解答スピードが2倍違う。
| 帯域 | 計算 | コスト |
|---|---|---|
| 56kbps(旧シリアル) | 10^8 / 56,000 | 1785 |
| T1 (1.544Mbps) | 10^8 / 1,544,000 | 64 |
| 10Mbps(FastEと同じ扱い注意) | 10^8 / 10^7 | 10 |
| 100Mbps(FastE) | 10^8 / 10^8 | 1 |
| 1Gbps(GigE) | 本来0.1だが最低値1で丸め | 1(参照帯域変更が必要) |
| 10Gbps | 同上、1で頭打ち | 1(auto-cost reference-bandwidth要調整) |
デフォルトの参照帯域は100Mbps。1Gも10Gもコスト1になっちゃうから、現代的なネットワークでは auto-cost reference-bandwidth 10000 みたいに参照帯域を引き上げないと最短経路が崩れる。試験でも「GigEと10GbEのコストが同じになる理由」は問われがち。
「R1からR4までの最短経路のコストは?」みたいな問題。経路上のすべての送信側インターフェースのコストを足し算すればOK。受信側のコストは足さない。これ、地味だけど引っかけポイント。
[例題] R1 --(GigE,コスト1)-- R2 --(FastE,コスト1)-- R3 --(T1,コスト64)-- R4 R1からR4を見たときのコスト = 1 + 1 + 64 = 66 ※ R1は送信GigE、R2は送信FastE、R3は送信T1の各コストを加算
選出ルールは「優先度→Router-ID」だけ
マルチアクセスネットワーク(イーサネット)では、LSAの交換を効率化するためにDRとBDRを選出する。これがCCNAでめちゃくちゃ問われる。ルールは超シンプル。
| 判定順 | 条件 | 補足 |
|---|---|---|
| ① | OSPFインターフェース優先度が高い方 | priority 0は選出対象外 |
| ② | Router-IDが大きい方 | ①が同値のとき |
| ③ | 非プリエンプティブ(先着優先) | 後から来た高priorityルータでもDRを奪わない |
図2: DR選出における判定要素の重み
最強
中
影響大
Router-IDの選ばれ方
Router-IDも頻出。優先順位は次のとおり。試験では「明示的なRouter-ID設定がない」「Loopbackがある」みたいな条件を組み合わせて聞かれる。
| 優先度 | 選出元 | 補足 |
|---|---|---|
| 1(最優先) | router-idコマンド明示 | 運用上はこれを書くべき |
| 2 | Loopbackのうち最大IP | 複数あれば一番大きいIP |
| 3 | 物理インタフェースの最大IP | UPしているもののみ対象 |
Router-IDは一度決まったら、OSPFプロセスを再起動するまで変わらない。「Loopback後付けしたのにRIDが変わらない」って質問もよく見る。clear ip ospf process を打てば再選出される。
7つの状態を「物語」で覚える
OSPFのネイバー状態は7段階。覚え方のコツは、無味乾燥な単語の羅列じゃなくて「2人が出会ってから恋人になるまで」的な物語にしてしまうこと。これ、けっこう本気でおすすめ。
| 状態 | 意味 | 何で詰まる? |
|---|---|---|
| Down | Helloも届いてない | 物理障害、ACL |
| Init | 片方向だけHello受信 | 対向のACL/方向ACL |
| 2-Way | 双方向Hello成立。DROtherはここで停止 | 正常(DROther同士は2-Way止まり) |
| ExStart | マスター・スレーブを決める | MTU不一致 |
| Exchange | DBDで概要交換 | MTU、認証パラメータ |
| Loading | LSRでLSA本体を要求 | パケロス・帯域不足 |
| Full | 同期完了。隣接関係の完成形 | ここまで来れば成功 |
「ExStartで止まっている。原因は?」→ MTU不一致。これは反射的に答えられるレベルにしておく。実機でも同じトラブルに会うので、覚えて損なし。
R1# show ip ospf neighbor Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface 10.1.1.2 1 FULL/DR 00:00:35 10.0.12.2 GigabitEthernet0/0 10.1.1.3 1 FULL/BDR 00:00:33 10.0.12.3 GigabitEthernet0/0 10.1.1.4 0 2WAY/DROTHER 00:00:38 10.0.12.4 GigabitEthernet0/0
この出力で「DROther同士は2WAY止まり」が一目でわかる。試験で「FULLにならない理由」を聞かれたら、この観点で答える。
R1# show ip ospf interface Gi0/0
GigabitEthernet0/0 is up, line protocol is up
Internet Address 10.0.12.1/24, Area 0
Process ID 1, Router ID 10.1.1.1, Network Type BROADCAST, Cost: 1
Topology-MTID Cost Disabled Shutdown Topology Name
0 1 no no Base
Transmit Delay is 1 sec, State BDR, Priority 1
Designated Router (ID) 10.1.1.2, Interface address 10.0.12.2
Backup Designated router (ID) 10.1.1.1, Interface address 10.0.12.1
Timer intervals configured, Hello 10, Dead 40, Wait 40, Retransmit 5
CCNA問題で意識する箇所はNetwork Type、Cost、State、Hello/Dead Timer。Hello 10秒・Dead 40秒はBROADCAST/Point-to-Pointのデフォルト。NBMAだと30/120になる。これも頻出。
試験で落としやすい論点5選
| 論点 | 罠の中身 | 対処 |
|---|---|---|
| エリア番号不一致 | そもそもネイバー張れない | 両端のarea番号を揃える |
| Hello/Dead不一致 | Initで止まる | ip ospf hello-interval / dead-intervalを揃える |
| サブネットマスク不一致 | 同じセグメントだと認識しない | interfaceのIP設計を見直す |
| MTU不一致 | ExStartで止まる | 両端のMTUを揃える or ip ospf mtu-ignore |
| Network Type不一致 | DRが選ばれない・Hello間隔ズレ | ip ospf network typeを揃える |
深夜のメンテで、Catalyst 9300とFirepowerをOSPFで繋いだら延々ExStartでハマった。原因はFirepower側のMTUが9000でCatalyst側が1500。CCNA勉強で「ExStart=MTU不一致」が体に染み付いてたから3分で気づけた。試験対策が現場で命を救う、わりと本当の話。
OSPFはCCNA試験の最重要テーマの一つ。LSA種別・コスト計算・DR選出を体系的に学ぶなら、まず「図解でスッキリ」で全体像を掴んで、「完全合格テキスト&問題集」の模擬試験で実戦力を磨くのがおすすめ。
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頻出パターン4選を30秒で解く
本番で出る問題の8割はこの4パターン。それぞれの「決め打ちフレーズ」を覚えておく。
「ExStartで停止」→ MTU
「2-Wayで停止」→ DROther同士なら正常
「Router-ID選定」→ 明示 > Loopback最大 > 物理最大
「DR選出」→ Priority > Router-ID(ただし非プリエンプティブ)
OSPF問題はLSA種別・コスト計算・DR選出・ネイバー状態の4ジャンル。LSAは「誰が出すか」で覚える。コストは10^8/帯域の早見表を頭に入れる。DRはPriority→Router-ID→先着の順。ExStart停止は反射でMTU。これだけでCCNAのOSPF系は8割落とせる。
よくある質問(FAQ)
Q. OSPFv2とOSPFv3の違いはCCNAで出ますか?
出ます。ざっくり「v2はIPv4、v3はIPv6」「v3はインターフェース単位で動く」「認証はv2が独自、v3はIPsec依存」あたりを押さえておけば十分。深追いは不要。
Q. DR/BDRのいないネットワーク種別はどれ?
Point-to-PointとPoint-to-Multipoint。ここではDRを選ばないので、出題で「DRがいない理由を答えよ」みたいな問いが来たら反射で答える。
Q. priority 0にするとどうなる?
そのインターフェースはDR/BDRの選出対象から外れる。設計で「このルータは絶対DRにしたくない」みたいな要件があるときに使う。試験では「priority 0が設定されているルータがDRになるか?」という形で問われる。答えは「ならない」。
Q. 参照帯域はどう変えるのが正解?
auto-cost reference-bandwidth をエリア内すべてのルータで同じ値にする。片方だけ変えると経路計算が壊れる。CCNA試験でも「全ルータで揃える」が正答パターン。10G以上を含む現場では10000(=10Gbps)に上げるのが一般的。



