ネットワーク障害解析でログの時刻が正確でないと、時系列での原因追跡が非常に困難になります。特にNTP同期が取れていないCisco機器では、数分〜数時間のズレが生じることがあり、他機器とのログ比較が難しくなります。
本記事では、NTP同期の設定方法と、Cisco機器でログ時刻をローカルタイム(日本時間)で表示する設定方法を解説します。
目次
1. NTP同期ミスによる問題
時刻がずれると以下のような障害解析上の問題が発生します。
- 複数機器のログの時系列が揃わない
- 障害発生の前後関係がわからなくなる
- VPNや証明書認証が失敗する場合がある
2. NTP同期の設定
まずは正しいNTPサーバーを指定し、機器の時刻を同期させます。
! NTPサーバーの指定(社内または外部) ntp server 192.0.2.10 prefer ! ハードウェアクロックへ反映 ntp update-calendar ! NTPステータス確認 show ntp status
ここで show ntp status
が「synchronized」となっていれば同期完了です。
3. ローカルタイムでのログ表示設定
Cisco機器はデフォルトではUTCでログを出力する場合があります。日本時間で表示するにはタイムゾーン設定とログのタイムスタンプ設定を行います。
3-1. タイムゾーン設定
! タイムゾーンを日本時間に設定(UTC+9) clock timezone JST 9
3-2. サマータイム(必要に応じて)
! 日本では通常不要だが、海外拠点などでは設定する場合あり clock summer-time JST recurring
3-3. ログへのタイムスタンプ設定
! ログに日付・時刻・ミリ秒を付与(コンソール出力) service timestamps log datetime msec localtime ! デバッグ出力にもタイムスタンプを付与 service timestamps debug datetime msec localtime
localtime
オプションを指定することで、設定したタイムゾーンに基づくローカル時刻がログに表示されます。
4. 設定例まとめ
ntp server 192.0.2.10 prefer ntp update-calendar clock timezone JST 9 service timestamps log datetime msec localtime service timestamps debug datetime msec localtime
5. 確認方法
! 現在の時刻とタイムゾーン show clock detail ! ログの時刻がJSTになっているか確認 show logging
6. まとめ
正しい時刻設定は、ネットワーク運用において障害解析の精度を保つための基盤です。NTP同期とローカルタイム表示設定を併用すれば、複数機器間のログ突合せがスムーズになり、トラブルシューティングの効率が向上します。