ネットワーク障害の初期調査では、show interfaces
コマンドによるエラーカウンタ確認が有効です。特にCRCエラーやinput errorsの増加は、物理層やリンク設定の不一致といったトラブルの兆候です。本記事では、実際の出力例を使いながら、どこを見ればよいのかとその対処方法を解説します。
1. エラーカウンタの確認コマンド
show interfaces GigabitEthernet0/1
特定のインターフェースを指定して実行します。全ポートを一括で確認したい場合はインターフェース名を省略できます。
2. 出力例と注目ポイント
GigabitEthernet0/1 is up, line protocol is up Hardware is Gigabit Ethernet, address is 0011.2233.4455 (bia 0011.2233.4455) MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit/sec, DLY 10 usec, reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255 Encapsulation ARPA, loopback not set Full Duplex, 1000Mbps, media type is RJ45 Last clearing of "show interface" counters 00:12:35 345 input errors, 0 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored 234 output errors, 0 collisions, 0 interface resets
注目すべき4項目
- input errors:受信時に発生した総エラー数。CRCやframeエラーを含む。増加していれば受信側の物理層や設定を疑う。
- CRC:フレームの整合性エラー。ケーブル不良、ポート故障、速度/デュプレックス不一致が原因になりやすい。
- output errors:送信時の総エラー数。バッファ不足やリンク障害、ポート不良の可能性。
- collisions / late collisions:半二重通信時の衝突回数。全二重環境で発生していれば設定不一致やケーブル問題。
3. 実務での確認ステップ
- まず input errors と output errors がゼロか確認する。
- CRC が増えていれば物理層トラブルを疑い、ケーブル交換やポート変更を行う。
- 全二重設定で collisions が増えていれば速度/デュプレックス設定の不一致を確認する。
- カウンタをクリア(
clear counters
)して再測定し、短時間で再発するかを確認する。
4. エラー発生時の主な原因と対策
- ケーブル断線・劣化 → ケーブル交換(規格準拠品を使用)
- 光ファイバのコネクタ汚れや曲げ → 清掃・配線見直し
- 速度・デュプレックス不一致 → 双方の設定をautoまたは一致させる
- ノイズ干渉 → ケーブル経路の見直し、シールドケーブル使用
- ポート故障 → 他ポートに切り替え、モジュール交換
5. 運用時のチェックポイント
- 定期的に
show interfaces
で全ポートのエラーを確認する - CRCやinput errorsの増加を早期に検知して対応
- 全二重設定ではcollisionsがゼロであることを確認
- 重要リンクはケーブル品質と配線経路を定期点検
6. まとめ
インターフェースエラーカウンタは、ネットワーク障害を未然に防ぐための重要な診断情報です。特にCRCやinput errorsの増加は見逃さず、物理層・設定の切り分けを迅速に行うことで、安定したネットワーク運用を維持できます。