ループバックインターフェースは、物理ポートに依存せず常にup
状態を保つ論理インターフェースです。管理IPアドレスの固定やルーティングの安定化、監視設定など幅広い用途で利用されます。本記事では、ループバックインターフェースの特徴、設定方法、活用例を解説します。
目次
1. ループバックインターフェースの特徴
- 物理ポートの状態に依存せず常に
up
- スイッチやルータの管理IPとして利用可能
- ルーティングプロトコルの安定化に有効
- 監視(SNMP、Syslog、NetFlow)やNTP設定の基準IPとして使用
2. 基本設定例
Switch# configure terminal interface Loopback0 ip address 192.168.100.1 255.255.255.255 no shutdown
ポイント: /32のホストアドレスで設定することが多いですが、用途に応じてサブネットマスクを変更できます。
3. 確認コマンド
Switch# show ip interface brief Interface IP-Address OK? Method Status Protocol Loopback0 192.168.100.1 YES manual up up
- Status / Protocol が両方
up
であることを確認 - 物理リンク断があってもこの状態は維持される
4. 活用例
4-1. ルーティングプロトコルの安定化
OSPFやBGPのルータIDにループバックインターフェースを指定することで、物理リンク障害時にもルーティングセッションが維持されやすくなります。
! OSPFでルータIDに指定 router ospf 1 router-id 192.168.100.1 network 192.168.100.1 0.0.0.0 area 0
4-2. 管理IPとして利用
SNMPやSSH接続、NTPサーバ指定などでループバックアドレスを使用すれば、物理ポート障害時にも管理アクセスが安定します。
! NTPサーバとして設定 ntp server 192.168.100.1
4-3. 監視・ログ送信の送信元IP固定
! Syslog送信元IPをLoopback0に固定 logging source-interface Loopback0
5. 運用上の注意
- ループバックインターフェースをルーティングに反映させるためには、そのIPが含まれるネットワークをOSPFやEIGRPに広告する必要がある
- アクセス制御(ACL)やファイアウォール設定でループバックIPへの通信を許可しておく
- 複数のループバックインターフェースを作成する場合は番号(Loopback0, Loopback1…)で管理
6. まとめ
ループバックインターフェースは、Ciscoスイッチやルータの運用において非常に便利な機能です。物理ポート障害に影響されない安定したIPを持つことで、管理やルーティング、監視の信頼性を大きく向上できます。ネットワーク設計段階からループバックを活用することで、運用性の高い構成を実現できます。