はじめに

ネットワークの規模が大きくなると、すべての機器が同じネットワークにあると管理が大変です。そんなときに使われるのが「VLAN(仮想LAN)」です。今回は、VLANの仕組みと、VLAN同士を通信させる「VLAN間ルーティング」についてわかりやすく解説します。

VLANとは?

仮想的なLANの分割

VLAN(Virtual LAN)は、1台のスイッチで複数の論理的なネットワークを作る技術です。物理的には同じスイッチに接続されていても、VLANを分けることで通信を分離できます。

  • VLAN 10:総務部
  • VLAN 20:営業部

このように部署ごとにVLANを分ければ、セキュリティやトラフィックの管理がしやすくなります。

図でイメージしよう

[PC-A: VLAN 10] ─┐        ┌─ [PC-C: VLAN 20]
                  │ Switch │
[PC-B: VLAN 10] ─┘        └─ [PC-D: VLAN 20]

PC-AとPC-Bは通信できるが、PC-AとPC-CはVLANが異なるため直接通信できません。

VLANのメリット

  • ブロードキャストドメインの分割 → 無駄な通信を抑制
  • セキュリティ強化 → 部署間の通信制限が可能
  • 柔軟なネットワーク設計 → 配線を変えずに論理構成変更可能

VLAN間ルーティングとは?

VLAN間はそのままでは通信できない

異なるVLAN間ではルーティング(経路指定)が必要です。つまり、「VLAN 10」から「VLAN 20」に通信したい場合、ルーターまたはL3スイッチを使って通信を中継する必要があります。

ルーターオンアスティック(Router on a Stick)

1本の物理リンクに複数VLANの論理インターフェースを設定してルーティングする方式です。

Ciscoの設定例:

interface GigabitEthernet0/0
 encapsulation dot1Q 10
 ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
!
interface GigabitEthernet0/0.20
 encapsulation dot1Q 20
 ip address 192.168.20.1 255.255.255.0

CCNAではこう出る!

CCNAでは以下の点がよく出題されます:

  • VLANの基本概念(論理的なネットワークの分割)
  • 同一VLAN間では通信できるが、異なるVLAN間はできない
  • VLAN間通信にはルーティングが必要
  • サブインターフェースを使ったルーターオンアスティック構成

VLANの理解はその後のトランクポートやSTPの学習にもつながるので、しっかり押さえておきましょう!

おわりに

次回は「スイッチングとブロードキャストドメイン」について解説します。