はじめに

「IPアドレスが足りなくなる」──そんな問題を解決するために登場したのがIPv6です。IPv4の後継として設計され、アドレスの枯渇問題を根本から解決します。今回はIPv6の基本的な考え方と、さまざまなアドレスタイプについてわかりやすく解説します。

IPv4との違い

項目IPv4IPv6
アドレス長32ビット(約43億個)128ビット(ほぼ無限)
表記形式192.168.1.12001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334
NAT利用必須(アドレス節約のため)原則不要(アドレスが豊富)
ブロードキャストありなし(代わりにマルチキャスト)

IPv6では、アドレスの数が圧倒的に多いため、NATなしで直接通信が可能になります。

IPv6アドレスの種類

IPv6では、用途ごとにさまざまなアドレスタイプが用意されています。

ユニキャスト(Unicast)

1対1の通信。IPv4の通常の通信と同じ。

  • グローバルユニキャストアドレス:インターネット上で一意に使えるアドレス(例:2001::/16)
  • リンクローカルアドレス:同一リンク内でのみ有効(例:fe80::/10)
  • ユニークローカルアドレス:プライベート用(例:fc00::/7)

マルチキャスト(Multicast)

1対多の通信。特定グループに対してパケットを送る方式。

  • 例:ff02::1(全ノード宛)、ff02::2(全ルーター宛)

エニーキャスト(Anycast)

複数のノードに同じアドレスを割り当て、最も近いノードへ通信する方式(主にルーティング用途)

IPv6アドレスの省略ルール

IPv6アドレスは長いため、以下のルールで省略可能です。

  • 先頭の0を省略2001:0db8::2001:db8::
  • 連続する0を::でまとめる(1回のみ使用可)
    2001:0db8:0000:0000:0000:0000:0000:00012001:db8::1

CiscoでのIPv6設定例

interface GigabitEthernet0/0
 ipv6 address 2001:db8:1::1/64
 ipv6 enable
  • ipv6 enable でインターフェースをIPv6対応に

showコマンド

show ipv6 interface brief

出力例:

GigabitEthernet0/0 [up/up]
    IPv6 address: 2001:db8:1::1/64
    Link-local: fe80::1

CCNAではこう出る!

出題ポイントまとめ

  • IPv6は128ビットでIPv4より圧倒的に広いアドレス空間を持つ
  • IPv6にはブロードキャストがなく、マルチキャストとエニーキャストを活用
  • 各アドレスタイプの用途(グローバル、リンクローカル、ユニークローカルなど)
  • IPv6アドレスの省略記法とルール
  • Ciscoでの設定例とshow ipv6 interfaceコマンドの出力

おわりに

今回は「IPv6の概要とアドレスタイプ」について解説しました。次回は「トラブルシューティングコマンド(ping, tracert, ipconfigなど)」について学びます!