はじめに

ネットワークに接続したとき、IPアドレスの設定やウェブサイトの名前解決が自動で行われるのは「DHCP」と「DNS」のおかげです。今回はこの2つのサービスがどのような役割を果たしているのか、初心者向けにわかりやすく解説します。

DHCPとは?

自動でIPアドレスを配る仕組み

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、IPアドレスやサブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどを自動で割り当てる仕組みです。

DHCPの流れ(DORAプロセス)

  1. Discover:クライアントがIPアドレスを要求
  2. Offer:サーバが利用可能なIPを提案
  3. Request:クライアントがそのIPを要求
  4. Acknowledge:サーバが確定

Ciscoルーターでの設定例

ip dhcp pool LAN
 network 192.168.10.0 255.255.255.0
 default-router 192.168.10.1
 dns-server 8.8.8.8
 lease 7
!
ip dhcp excluded-address 192.168.10.1 192.168.10.10
  • excluded-addressで予約アドレス範囲を除外

showコマンド例

show ip dhcp binding
show running-config | include dhcp

出力例:

Bindings from all pools:
192.168.10.11   0100.1b2c.3d4e.5f   --   Automatic

DNSとは?

名前をIPアドレスに変換する仕組み

DNS(Domain Name System)は、www.example.com などのドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みです。

例えば:

www.google.com → 142.250.199.36

人は名前で覚えやすく、コンピュータは数字(IP)で通信するので、DNSがその橋渡しをしてくれます。

DNSの問い合わせ方式

  • リカーシブクエリ:1回の要求で最終的な回答を得る(主にクライアント→DNSサーバ)
  • 反復クエリ:DNSサーバ同士の問い合わせ(権威サーバまで辿る)

CiscoのDNS設定例

ip name-server 8.8.8.8
ip domain-lookup

showコマンド例

show hosts

出力例:

Default domain is not set
Name/address lookup uses domain service
Host        Flags      Age Type   Address(es)
example     (perm, OK)  0   IP     192.0.2.1

DHCPとDNSの違いまとめ

項目DHCPDNS
役割IP設定の自動配布ドメイン名とIPアドレスの変換
プロトコルUDP 67(サーバ)/68(クライアント)UDP/53(場合によりTCP/53も)
仕組みDORAプロセスで割り当てクエリと応答で名前解決

CCNAではこう出る!

CCNA試験でよく問われるポイント:

  • DHCPのDORAプロセスと構成コマンド
  • ip dhcp excluded-addressの意味
  • DNSの役割と問い合わせ形式(リカーシブ/反復)
  • Cisco機器でのip name-server設定と確認方法

ネットワークの基本動作を支える重要サービスなので、しっかり覚えておきましょう!

おわりに

今回は「DHCPとDNSの役割」について解説しました。次回は「無線LAN(SSID、セキュリティ)」について学びます!